ヘッドハンティング最前線~現役ヘッドハンターが語る~

「挫折あり、転職多数」でもヘッドハントされる人材

2015年03月17日
担当
千田 幸介

ヘッドハンティングのニーズを持った様々なクライアントに日々接しているが、求める人材は企業によって十人十色。スキルや職務経験といったスペックに関することはもちろん、ビジネスに取り組む姿勢やビジネスを通して得てきた経験にも及ぶ。その為、我々は対面する候補者の志向や経験を分析しながらマッチングを図っているが、時には正反対と思われるAとBという経験をそれぞれ欲しがる企業もあって面白い。

代表的な例をあげると、「転職未経験」の候補者を求める企業がある一方、「複数の転職歴」がある候補者を求める企業があったり、常勝経験のある「勝ち癖のある方」を求める企業がある一方、「挫折経験のある方」を求める企業があったりする。全く異なるこれらの経験者をそれぞれ求める企業には一体どんな背景や課題があるのだろうか?簡単にまとめてみた。

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「転職未経験」と「複数の転職歴」の場合

■「転職未経験」の候補者を求める企業の背景

まずは将来の幹部候補や役員候補などの場合は中長期的に在籍してもらいたいというニーズがある。やはり日本では、転職回数が多い=すぐに自社も辞めてしまう、という方程式を信じる企業が多いのが現状だ。また、長年同じ会社に在籍し続ける人材は、「転職先でもロイヤリティ高く働いてくれるはず」という期待値が大きい。これらより、忠誠心高く長期間働いてもらいたいという志向が強い企業は転職未経験者を求めやすい。

■「複数の転職歴」がある候補者を求める企業の背景

当社のヘッドハンティングの候補は30代半ば~40代が多いのだが、この年代で複数の企業経験があることの利点は、「色々なやり方を知っている」ということになる。同じ仕事でも企業によってノウハウや進め方が異なる。その良し悪しを経験していることが強みなのだ。特に同業から候補者をヘッドハンティングする場合は、1社の経験だけよりも複数の競合企業の「やり方」を知っている人材の方が都合が良いことがあるわけだ。

また、外資系やIT系スペシャリスト職では、「優秀な人材ほど1社にとどまることはナンセンスだ」と考える経営者は意外にも多い。ミドル層になっても転職経験が無いと他社では通用しないのでは?と思われるのである。もちろんキャリアの積み方に一貫性があり、転職の都度、スキルや経験が増していることが前提だ。また、30代で10社経験・・・とあまりにも経験社数が多いとさすがにジョブホッパー扱いとなり対象外になる。

「勝ち癖のある方」と「挫折経験のある方」の場合

■「勝ち癖のある方」を求める企業の背景

勝ち癖のある人材を求める企業にはムードや運気、調整力を自社に取り込みたいというニーズがある。勝ち癖のある人材というのは現場のムードを明るくすることができる。「この人と一緒に仕事をすると勝てる」というムードが生まれるからだ。また、そのムードが企業全体の運気を上げると信じる経営者も多い。

そして勝ち癖のある方は、勝ち方を熟知している。準備に怠りが無く、また仮に傾き始めた事業や開発案件があっても上手く調整しながら立て直していける。負ける確率を極力低くして行けるこの調整力は経営者にとっては魅力なのである。

■「挫折経験」のある候補者を求める企業の背景

挫折経験を持つ人材はマネジメントする立場で活かされると考える企業が多い。例えば、徹夜続きで開発に携わり、結果的に体調を崩して戦線離脱した…という経験は、管理者の立場になった際に部下のコントロールに活かされ、また、部下の心理に敏感で寛容になるといった点に期待が持てる。

また、企業文化によっては負けても良いからチャレンジすることを優先する企業もある。「1勝9敗」でも良いからその1勝に価値を見出し、成功させればよいという考え方だ。負けることを恐れる人材は採用されない。

どちらにしても重要なのは挫折や失敗した経験から何を得て、どう乗り越えたかである。そこから学び、成長した人材であれば歓迎される環境は少なくない。

以上のように、今回は正反対の経験でも互いにヘッドハンティングの候補となる例を紹介してきたが、これらはほんの一例にすぎない。一見、転職に不利と思われる経験でも「良」とする企業もあるので、我々のようなヘッドハンターとお会いいただく際には、是非、ご自身の志向や経験をめいっぱい打ち明けていただきたいと思う。ご自身があまり重要と感じていない志向、経験、考え方がクライアントの企業からすると「是非、お迎えしたい!」となる可能性も大いにあるのだから。
(千田 幸介)

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