プロねた。
Vol.093

有休「5日」の義務は少ない?

2015年02月23日
担当
福良 英基

先日、厚生労働省は2016年4月から年5日分の有給休暇を社員に取らせるよう企業に義務付けるという方針を発表した。この方針に違反する企業には罰則もある。厚労省によると労働者が1年間に取得した有給休暇の平均日数は「9.0日」で、取得率は48.8%にとどまる。政府としてはこの取得率を引き上げて欧米諸国に近づけたいそうだ。具体的には2020年までに有休取得率を70%にするという目標である。

この話を見ておやおや?と思うことがいくつかあった。

まず、義務日数が「5日」という点である。これって短くないだろうか?そもそも夏季休暇や年末年始の休暇を有給消化している労働者は多い。この夏季休暇や年末年始休暇を企業が「5日」の枠に指定して来たら、社員にとってはほとんど影響がない。そういう意味で、この報道を日経新聞や読売新聞を見たビジネスマンは「5日じゃ短いでしょう」と思ったに違いない。私もその一人であり、せめて10日は義務付けないと取得率は上がらないのではないかと思う。

もうひとつは「5日」を義務にしても欧米には到底追いつけないという点。日本の有休付与数と消化率は先進国では圧倒的に少なくて低いからだ。労使協約で合意した平均付与日数は、ドイツと フランスが30.0日、 イタリアが28.0日などとなっており、一方、日本は18.3日(データブック国際労働比較2014)。さらに、欧州諸国は有給消化率が高く、各国90%を超えており、低くてもアメリカの80%強といった具合だ。欧米諸国のビジネスマンはロングバケーションを取得しているイメージがあるが、この長い有休付与数と高い消化率が背景にあるわけだ。「5日」の義務化くらいでは欧米の背中はまだ見えてこないだろう。

あとは、日本人の働き方が「もちつもたれつで垣根がない為」に休みをとることで周りに迷惑をかける・・・という意識が根強くあることが問題だ。欧米は仕事が極めて個人に紐づいているので、そこは割り切られている。この点を解消しないと「有休の間、誰があなたの仕事をするの?」となりかねないから、根本的な解決策を官民で考えないと有給取得率は上がらないだろう。

とは言いながらも、これまで全く有休を取得できていなかったような企業の社員にとっては朗報なのは間違いない。2020年に有休取得率が何%になるのか興味深い。

トップへ戻る