プロねた。
Vol.087

引抜き規制で損害賠償!?

2014年04月30日
担当
福良 英基

スティーブ・ジョブズ氏の生存中からアップルとグーグル、インテル、アドビシステムズの米IT大手の4社は、お互いの従業員を引き抜かないように取り決めていたそうだ。最近になってジョブズ氏など経営幹部による引き抜き防止に関する電子メールの証拠も明示されたという。

この4社の製品(サービス)イメージはざっと

アップル = iPhone・iPadなどのデジタル家電やその周辺ソフトウェア
グーグル = 検索エンジンやその周辺ソフトウェア
インテル = マイクロプロセッサなどのPC搭載精密機器
アドビシステムズ = デザイン、イメージング系ソフトウェア

といった感じではなかろうか。一見、各社主力製品の直接の競合ではないように思えるが、優秀なエンジニアは汎用性が高いから、仮に取り決めを行っていなければ、引抜き合戦が頻繁に行われていただろう。

優秀な人材には競合他社からヘッドハンティングの声がかかりやすい。時には数百万高い年俸の提示や役員級のポジションを用意して迎えるという条件だってある。転職意欲がなかったとしても競合他社から高待遇やスキルアップを実現できる環境を用意されたとしたら・・・、あなたはその誘いをきっぱりと断れるだろうか??

この4社はそんな引き抜き合戦の結果、各社エンジニアの賃金が高騰することを未然に防ぐための抑止力として、4社間での引抜き禁止を取り決めた。というのが目的のひとつなのは間違いない。ところが、さすがはアメリカ。この取り決めに社員たちがだまっていなかった。互いの従業員を引き抜かないという取り決めの影響で、自分達の賃金が抑えられたと、6万4000人余り技術職を代表した集団訴訟が行われた。結果、4社は合計で3億2400万ドル(約332億円)を支払うという和解案に合意したようである(弁護士側未発表、関係者談)。4社の経営サイドからすると、賃金抑止の狙いが逆に高くつくことになった。

日進月歩で進むテクノロジーの進化をリードしようと思うのなら、競合他社のエース級人材を世界のどこからでも連れてきたいと思う成長企業は多い。そして逆に連れて行かれないように対策を講じる企業との戦いでもある。職業選択の自由が法で守られている日本もそうだが、多くの先進国では雇用者側に明らかに不利益な対策を講じると、今回のように足元をすくわれることになるから難しい。

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