コンサルBIG4とはどこ?年収・グループ会社・得意領域などの特徴を徹底比較!

「BIG4」という言葉は様々な意味で使われていると思いますが、最もよく使われるのはコンサルティングファームのBIG4ではないでしょうか。

この記事では、コンサルティングファームのBIG4とはどこなのか、その意味やBIG4と呼ばれるに至った歴史、そして各社の特徴について詳しく解説します。また、BIG4各社のグループ会社や、BIG4と間違われやすい会社についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

コンサルBIG4とは?

コンサルBIG4とは、世界4大監査法人グループのコンサルティングファームのことを表しています。具体的には以下の4社を指します。

よくBIG4と間違われるアクセンチュア株式会社は、監査法人アーサー・アンダーセン傘下のアンダーセン・コンサルティングが前身ですが、2001年にアーサー・アンダーセンから独立してからは、監査法人グループに属さないコンサルティングファームとして活動しています。

また、コンサルBIG4は、幅広い分野でコンサルティングサービスを提供していることから、「総合系コンサルティングファーム」とも呼ばれています。

コンサルBIG4の歴史

監査法人は、企業の財務諸表が適正であるか、誤りや粉飾がないかをチェックし、保証すること(監査業務)が主な業務です。この特性上、経営に関する知見が蓄積され、全世界に拠点を持つことにより広いグローバルネットワークを有します。彼らはそれを活かして企業の経営戦略や課題解決にアドバイスを行うコンサルティング業務を行うようになっていきます。

コンサルティングニーズの拡大に伴い監査法人のコンサルティング業務も好調な中、米エンロン社の粉飾決算(エンロン事件)に端を発し、監査法人が監査先の経営をコンサルティングすることは不正の温床となるという批判が噴出し、2002年にアメリカで「SOX法」が成立、監査法人のコンサルティング業務が制限されます。それを受け、監査法人はコンサルティング部門を譲渡や廃止し、BIG4は一時的にコンサルティング業界から姿を消すことになります。

しかし、BIG4はコンサルティングサービスの提供を諦めませんでした。コンサルティングファームを買収し、自社内ではなく自社の傘下に置くこと、また、サービス提供する会社を制限することで、コンサルティング業務を再開し、業界での勢力を拡大していきました。依然として法規制による制約はあるものの、現在は再びBIG4と呼ばれるほどの存在感を確立しています。

コンサルBIG4各社の比較

ここからは、コンサルBIG4各社について紹介していきます。

BIG4各社の概要比較表

まずはコンサルBIG4各社の違いはどこにあるのか、それぞれの概要を比較してみましょう。

企業名 設立 従業員数 平均年収 特徴
デロイト トーマツ コンサルティング 1993年 5,263名 958万円 人材を育成する文化がある
PwCコンサルティング 1983年 約4,500名 955万円 グローバル色が濃い
KPMGコンサルティング 2014年 1,795名 901万円 ベンチャー色が濃い
EYストラテジー・アンド・コンサルティング 2020年 4,243名 905万円 若手が活躍しやすい

続いて、各社個別に紹介していきます。

デロイト トーマツ コンサルティング

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は、デロイト・トウシュ・トーマツのメンバーファームとして、1993年から日本でコンサルティングサービスを提供しています。従業員数は5,263名 (2023年5月末)に達し、BIG4の中でも最大規模の会社となります。

コンサルティングファームによく見られる「UP or OUT」(昇進するか辞めるか)ではなく、社内で人材を育成する文化があり、教育制度や福利厚生も充実しています。そういった点から、BIG4の中でも日系企業らしい文化を持ったファームと言えるでしょう。

デロイト トーマツ コンサルティングの平均年収に関して公開されているデータはありませんが、国内最大級の口コミサイト「OpenWork」の投稿者平均は958万円となっています。上位レイヤーのほうが口コミサイトへの投稿が少ないと想定すると、実際の平均年収は1000万円を超えている可能性が高いと考えられます。

グループ会社の紹介

デロイト トーマツ コンサルティングのグループ会社には、監査法人の有限責任監査法人トーマツをはじめ、ファイナンシャルアドバイザリー(FAS)やリスクアドバイザリー、さらには税理士法人や弁護士法人があります。

主なグループ会社は以下のとおりです。

・デロイト トーマツ合同会社
デロイト トーマツ グループのガバナンスと経営執行を担当

・有限責任監査法人トーマツ
監査・保証業務とリスクアドバイザリー

・デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社
クライアントが適切にリスクテイクし、的確に経営上の課題に対応するためのサービスを幅広く提供

・デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
収益構造を変革するためのM&Aや、企業再編・不正調査などのクライシスマネジメントの局面において、企業が直面する重要な課題の解決を支援

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・デロイト トーマツ税理士法人
現代のクライアントのニーズに合わせた多様かつ総合的な税務サービスを提供

・DT弁護士法人
国内外の企業のニーズに則した法律サービスを迅速に提供

・デロイト トーマツ グループ合同会社
デロイト トーマツ グループのコーポレート業務を担当

PwCコンサルティング

PwCコンサルティング合同会社は、プライス ウォーターハウス クーパースのメンバーファームとして、1983年に設立されました。従業員数は約4,500名(2023年6月末)です。

BIG4は4社とも外資系であり、グローバルな文化や業務を有していますが、その中でもPwCコンサルティングは特にグローバル色が濃く、海外案件も多いと言われています。

PwCコンサルティングも平均年収は公開されていませんが、「OpenWork」の投稿者平均は955万円となっており、デロイト トーマツ コンサルティングとほぼ同水準と思われます。

グループ会社の紹介

PwCコンサルティングのグループ会社には、監査法人のPwC Japan有限責任監査法人(2023年12月にPwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人が合併)の他にも、デロイトと同様に、FASやリスクアドバイザリー、税理士法人、弁護士法人などがあります。

主なグループ会社は以下のとおりです。

・PwC Japan有限責任監査法人
監査およびアシュアランスサービスを提供

・PwCアドバイザリー合同会社
M&A、事業再生、インフラを中心にディールアドバイザリーサービスを提供

・PwC税理士法人
幅広い分野の税務コンサルティングを提供

・PwC弁護士法人
社会における多様な法的課題について、迅速かつ適切なソリューションを提供

・PwC総合研究所合同会社
金融・資本市場に関する総合的な研究機関

・PwC Japan合同会社
メンバーファームの人事、総務、経理、マーケティング、ITなどの業務を担当

・PwCリスクアドバイザリー合同会社
広範なフォレンジックサービスを提供

KPMGコンサルティング

KPMGコンサルティング株式会社は、KPMGのメンバーファームであり、2014年に設立されました。従業員数は1,795名(2023年7月)です。

概要比較表を見るとわかるように、KPMGコンサルティングの従業員数はBIG4の中では圧倒的に少ないです。そのため、少数精鋭かつ個人の裁量が大きい組織として、BIG4の中でもベンチャー色が濃いという特徴があります。

KPMGコンサルティングも平均年収は公開されていません。「OpenWork」の投稿者平均は901万円となっており、デロイトやPwCと比較すると少し低めに見えますが、日本の平均年収が400万円台前半であることを考えると、十分に給与水準の高い会社と言えるでしょう。

グループ会社の紹介

KPMGコンサルティングのグループ会社には、あずさ監査法人をはじめ、FASや税理士法人などがあります。

主なグループ会社は以下のとおりです。

・あずさ監査法人
監査・アドバイザリーサービスを提供

・KPMG FAS
経営戦略、M&A・PMI、事業再生・事業変革、フォレンジックのソリューションを提供

・KPMG税理士法人
最適かつ包括的な税務アドバイスを提供

・KPMGヘルスケアジャパン
医療やヘルスケア関連産業に特化して、ビジネスアドバイザリーサービスやFASを提供

EYストラテジー・アンド・コンサルティング

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、アーンスト アンド ヤングのメンバーファームであり、2020年にEYトランザクション・サービス株式会社とEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社が統合されてできました。従業員数は4,243名(2024年3月)です。

EYストラテジー・アンド・コンサルティングは2017年に大規模な組織再編を行い、2020年にも上記の統合があったため、まだ会社が若く、変化や成長を遂げている段階であることが特徴です。また、これにより若手が活躍しやすい環境であると言われています。

EYストラテジー・アンド・コンサルティングの「OpenWork」投稿者平均年収は905万円となっており、KPMGと近い水準であると推測できます。

グループ会社の紹介

EYストラテジー・アンド・コンサルティングのグループ会社には、監査法人のEY新日本有限責任監査法人のほか、税理士法人、弁護士法人、アウトソーシングサービスや人材派遣業務を行う会社もあります。また、ファイナンシャルアドバイザリー機能は独立しておらず、EYストラテジー・アンド・コンサルティング内に同業務を行う部門を持っています。

主なグループ会社は以下のとおりです。

・EY新日本有限責任監査法人
監査・保証業務の提供

・EY税理士法人
税務アドバイザリー業務の提供

・EY弁護士法人
ワンストップ法務サービスの提供

・EYビジネスパートナー株式会社
経理・会計・給与計算のアウトソーシングサービスを提供

・EYプロフェッショナルサポート株式会社
会計・給与計算および税務プロフェッショナルの人材派遣業務

BIG4と間違われやすい企業①:アクセンチュア

アクセンチュア株式会社は、BIG4と肩を並べるレベルの総合コンサルティングファームであるため、よくBIG4と混同されますが、実際にはBIG4には含まれません。アクセンチュアとBIG4の明確な違いは、監査法人のグループに属していないことです。

アクセンチュアの前身であるアンダーセン・コンサルティングは、かつてアーサー・アンダーセンという監査法人のコンサルティング部門でしたが、分社化を経てアンダーセンから完全に独立し、2001年よりアクセンチュアとして再出発をしています。

なお、アクセンチュアの「OpenWork」投稿者平均年収は868万円となっており、給与面でもBIG4と肩を並べるファームと言えるでしょう。

BIG4と間違われやすい企業②:ボストン・コンサルティング

ボストン・コンサルティング・グループ合同会社も、知名度の高いコンサルティングファームであるため、よくBIG4と混同されますが、BIG4やアクセンチュアが総合コンサルティングファームと呼ばれるのに対して、ボストン・コンサルティングは戦略コンサルティングファームと分類されます。

戦略コンサルティングファームとは、クライアントの経営層が直面する最上流の課題解決を行うファームです。これに対して総合コンサルティングファームは、その名のとおり下流も含めた幅広いコンサルティングを行うため、部門責任者や担当者と関わることも珍しくありません。

より上流の課題解決を担当し、高い専門性と価値を提供していることもあり、ボストン・コンサルティングの「OpenWork」投稿者平均年収はなんと1,502万円であり、BIG4を大きく上回る給与水準であることがわかります。

BIG4と間違われやすい企業②:マッキンゼー

マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパンも、ボストン・コンサルティングと同じく戦略コンサルティングファームであり、BIG4には含まれません。

マッキンゼーの「OpenWork」投稿者平均年収も、BIG4を大きく上回る1,269万円となっており、戦略コンサルティングファームの給与水準の高さがわかります。

なお、ボストン・コンサルティング、マッキンゼーにベイン・アンド・カンパニーを加えた3社(通称MBB)を戦略コンサルBIG3と呼ぶこともあり、これも総合コンサルBIG4と混同されやすい理由かもしれません。

まとめ

コンサルBIG4とはどこなのか、どのような特徴があるのか、おわかりいただけたでしょうか。コンサルBIG4は歴史ある世界4大監査法人のグループに属するコンサルティングファームであり、年収も高い優良企業であると言えます。コンサルティングファームは未経験者の採用も積極的に行っていますので、この記事を読んでコンサルティング業界に興味を持った方はBIG4、アクセンチュア、ボストン・コンサルティング、マッキンゼー等に応募してみてもいいかもしれません。

※文中の「OpenWork」投稿者平均年収は、全て2024年4月5日時点のものです。

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