ピーターの法則を回避するために組織ができる3つの対策

ピーターの法則を回避するために組織ができる3つの対策

会社のような組織においては、一体感を持って業務に取り組んでいく必要があります。ですが、会社組織のような階層的な枠組みの場合、上下のあつれきが生まれてしまうことがあります。このような事態は階層社会学の視点から提唱された、ローレンス・J・ピーターが提唱する「ピーターの法則」を知ることで回避できます。

ピーターの法則が解き明かす「無能な管理職」が生まれる理由

「ピーターの法則」では、企業を始めとした「組織」を形成する構成員は、属している全員それぞれが能力を進展させ続けなければ、いずれ組織が無能化し機能しなくなることを以下3つの要素から説明しています。
第一に、能力主義の階層社会において、個人の能力の限界まで出世してしまうと「無能な管理職」になります。これは「管理職」としてのスキルが必ずしも、それまで本人が有能とされてきたスキルと一致しないために起こる現象です。

次に、無能な人材は今自分が置かれている地位に落ち着きますが、有能な人材は出世して「無能な管理職の地位」に落ち着きます。これは無能であったとしても、管理職の立場を一度でも手にしてしまった場合は、その地位が揺るがないことが原因で起きる現象です。
この2つの現象が起きてしまうと、どの階層も無能な人材ばかりで埋め尽くされます。

無能な管理職が生まれるプロセス

ピーターの法則によって、無能な管理職が生まれるプロセスは、以下のとおりです。
まず、企業において、仕事ぶりが良く有能な人材は昇進・昇格されます。一方で昇格後、その役職に見合うスキルがなければ、それ以上昇格せず現状の地位で止まります。そして、一度上の役職に昇進すると、大きな問題を起こさない限りは降格されるということがありません。

しかし、自身のスキルに見合った役職ではないために、従業員は無能レベルのまま職務を遂行せざるを得なくなってしまいます。企業がより厳格な階級制度に則っているほど、ピーターの法則は成立しやすくなります。

特に、階級制度と職務内容とが密接に結びついている場合、「地位はあるが能力がない」という場合に、役職をそのままに業務内容を変えるということができなくなります。結果として「役職」を守ることが最優先され、従業員は無能なまま「管理職」として業務を遂行し続けることになるのです。

ピーターの法則を回避するために企業がすべきことは業務を適切に評価すること

ピーターの法則を回避するために企業がすべきこととして、以下の3つが挙げられます。
1つ目は、昇進人事を「管理業務」という業務能力の評価で行うことです。従業員をこれまでのプロジェクトや業務の業績で評価するのではなく、「管理業務を遂行するのに適した能力を持っているかどうか」を評価するのです。目に見える「成果」を上げた時点で昇進とするのではなく、次の段階の仕事に必要な「能力」について理解し身につけるまで昇進させないことが重要です。

2つ目は、有能な人を「能力を発揮している地位」に固定させ、実績を適切に評価することです。名プレイヤーが名監督になるとは限らないように、管理職には向き不向きがあるのは事実です。実務が得意な人材に対しては、実務に専念できる役職に固定する方が優れた業績を上げられます。
ただし役職を固定することによって本人のやる気意欲が低下しないように取り計らう必要があります。自身の業績が正しく評価され、賞与や昇給によって、実績を評価する仕組みを作ることが重要でしょう。

3つ目は、昇進後「無能」となった場合に、一度降格させることです。降格させることで本人の自尊心が傷つき、部下からの評価が落ちるという悪影響は考えられますが、従業員を「無能な位置」に留めておく方がデメリットは大きいものです。

そもそも、従業員本人にとって「無能である位置」は自分の能力を発揮できないポジションです。仕事自体が大きなストレスとなり、周囲と適切なコミュニケーションを取ることが難しくなることもあります。そして、周囲の人が「無能な管理職」の影響を受け続けることを考えれば、降格させることの方がリスクを抑えられると考えられます。

ピーターの法則を回避するために個人に働きかけるべきこと

ピーターの法則を回避するためには、企業だけではなく個人の心がけも重要です。そして、個人に対して心がけるように働きかけることは以下の2つです。
第一に、「マイナス思考を持たせる」ことです。具体的には、出世することのデメリットについても目を向けさせるようにします。出世するデメリットについて考えることは、現状の地位に対する満足度を高めることに繋がります。さらに、デメリットを想定することは、管理職という役職にステップアップする準備になるのです。

例えば、「今の役職だから自己の業務に専念することができるが、昇進したら自己の業務に割けるリソースが減るだろう」と考えれば、現在の地位に満足する気持ちが芽生えることがあります。あるいは、上位の役職についた時に適応するために、どのような努力が必要かについても考えるようになるのです。

次に、現状の労働に関する価値や尊さを認識する「ジョブ・クラフティング」という考え方を取り入れさせることです。
ジョブ・クラフティングとは、自分の「仕事の価値について」の認識を変化させることです。具体的には、自分の仕事が「お金を稼ぐため」ではなく、「社会貢献になっている」「誰かのためになっている」という考え方を持つように認識を改めさせます。

例えば、とても有名なエピソードとして、レンガ職人の例が挙げられます。同じレンガを積む仕事でも、「ただレンガを積むだけの仕事」と考えれば、それは単なる「労働」にすぎません。しかし、「大聖堂をつくる」ことが自分の仕事だと考えれば、レンガを積むという仕事に対する情熱ややりがいを持つことができます。

仕事のモチベーションとして、昇進が目的になってしまうと、限界まで達したときに向上心がわかず、無能になることは避けられません。
一方で、役職に関わりなく自分の仕事が意義深いものだと考えられれば、昇進した後もそれに見合う能力をつけようと努力できます。それが、ピーターの法則を回避することに繋がるのです。

ピーターの法則を回避するカギは適切な業務評価と再啓発

ピーターの法則は、階級制度が職務内容と不可分に結びついている場合に発生しやすくなります。したがって、年功序列制などの人事システムによってではなく、従業員が持つ業務遂行能力や実績に適した役職が与えられることで、ピーターの法則は回避できます。

また、従業員個々人の心がけも、ピーターの法則を回避するためには重要です。昇進のデメリットを考えさせることや、仕事の意義を見直させるジョブ・クラフティングも有効です。そして、中間管理職やマネージャー向けのセミナー、研修などを通じて、管理業務向けのスキルアップや、業務に対する意義の再啓発が重要となるでしょう。

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