ヘッドハンティング研究

ヘッドハンティングの活用が進む3つの業界

ヘッドハンティングの活用が進む3つの業界

当社クライアントの傾向からして、環境や技術の変化が著しい業界に属する企業は、ヘッドハンティングニーズがおのずと高まり、活用も進んでいるように思います。ビジネス競合に勝つために高度な開発力を持つ研究者、先端技術のさらに未来を創るエンジニア、現場管理に必ず必要な国家資格のホルダー。これら希少性高い人材、ならびにどの同業他社でも欲しいような人材は、一般の採用手法では獲得が難しい為にヘッドハンティングサービスを活用して、“求職者以外”からも候補者を探し出し採用することで、国内でも世界でも“勝てる組織・企業”を作り上げているのです。

今回は、ヘッドハンティングサービスを活用する企業が多い業界はどこなのか?を人材ニーズの傾向と共にみていきましょう。

ヘッドハンティングを活用する企業が多い業界

▽参照:【業界別】問合せ企業数の比率
業界別 問合せ企業数の比率早速ですが、業界別に当社への問合せ比率を上位からみていきます。
1.製造業
2.IT、情報通信業
3.建設業
4.サービス業
5.流通・小売業
6.金融業 …
と続きます。

多少、順位は入れ替わりますが上位の3業界は活用数でも同じ顔ぶれになっています。当社においてこれらの業界への対応実績が豊富であり、また得意としています。

製造業のヘッドハンティング傾向

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製造業といってもその業種は多様であり一括りに出来るものではありませんが、昨今の製造業におけるヘッドハンティングは、大きい2つの流れが存在しています。ひとつめが【ハード→ソフト】の流れ、もうひとつが【もの→こと】の流れであり、このふたつの人材流動テーマに関するニーズが年々高まっています。

① ハード→ソフト

これは、機械業界で進む「自動化」の流れの中で生じる電気・IT系人材のヘッドハンティングニーズになります。自動車も産業用機械も自動化のためには、電気電子の人材が必要で電気回路の設計や機械の動きを制御するソフトエンジニアのニーズは、ここから出てきています。画像認識、音声認識も自動化に関連して必要になる技術ニーズですし、自動車は少し別文脈で電導化という動力の変化からモータ、パワーエレクトロニクス、電池関連の技術者ニーズが色濃く出ています。

② もの→こと

サブスク(サブスクリプション)流行りの世の中ですが、製造業にもその流れは広がってきています。日本の製造業の代表格である自動車ではトヨタが「KINTO」という車のサブスクサービスを展開し、ホンダは「楽まる」、日産は「ClickMobi」というサービスで追随していますし、他にもMaas(Mobility as a Service)の普及、浸透に向けた自動車メーカーと交通機関が協業して、消費者のショッピングモールやホテルへの移動を担う新しいサービスへもトライがはじまっています。

上記例のように各自動車メーカーは、「自動車(もの)」を提供することからサブスクでは「新車を簡単定額で楽しめる(こと)」の提供へスイッチ、Maasは「移動する(こと)」の提供へのスイッチを行うことで、未来の成長戦略を描いていると言えます。

自動車業界での例をあげましたが、製造業での類似サービスは、おのずと予約や顧客管理などの従来ものづくりメーカーにはいないIT系エンジニアやビジネス系人材が求められるようになっています。

IT・情報通信業界のヘッドハンティング傾向

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ECや情報処理、通信に加えAIやビックデータなどIT業界は、ビジネス領域を年々拡大しています。昨今では、これらの新しいビジネス領域で先進的な技術力が求められ、エンジニアの獲得競争はさらに激しくなっています。

自社プロダクト開発者

中でも自社プロダクトを持ったIT系の事業会社からの問い合わせが多い傾向にあり、プロダクトの成長に伴った開発に携われるエンジニア、特に現場の開発をリードできる経験が5~10年のリードエンジニア、テックリードクラス(年収700~900)は非常にニーズが高く、引く手あまたな状況となっています。

経営・マネジメント人材

また、IT系マネジメント~経営人材のヘッドハンティングも活況となっています。例えば、SIerをはじめとする外部の協力会社から脱却して、エンジニア組織の内製化を目指す企業では、組織構築やメンバー育成を担えるマネジメント経験者のニーズが高く、エンジニアリングマネージャーを迎えたい企業が非常に多い状況です。その延長線上に、組織構築マネジメントのトップとして、VPoE(Vice President of Engineering)という数年前には聞かなかったポジションでのニーズも増えてきていますし、開発のトップであるCTO(Chief Technology Officer)の離職があった場合や事業スケールの拡大に向けて、ヘッドハンティングで外部から人材を迎えるケースも増えています。

スマホ・セキュリティ関連

更にニーズが高い領域としては、iOS・Android(ネイティブアプリ)の開発エンジニアがあげられます。これらのエンジニアは、市場の人数自体が少ない一方で企業からのニーズ高く、需給バランスが特に悪い印象であり、ヘッドハンティングでの採用ニーズが高い傾向にあります。また、情報流出やサイバー攻撃の傾向が増える中で、ITセキュリティに投資する企業も多く、セキュリティ専業エンジニアはニーズも高まっています。

建設業界のヘッドハンティング傾向

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地球環境・社会インフラ

2010年代から国土強靭化のテーマとなる老朽インフラ維持管理対応を背景とした建設分野の技術者(土木分野の河川、港湾、道路、橋梁等の計画を担う技術士ならびに土木工事の1級施工管理技士等)のヘッドハンティングは活発でしたが、地球規模での気候変動による自然災害が頻発する中、環境産業の市場規模拡大を受け、建設分野に加え、地球環境・社会インフラ事業でのヘッドハンティングニーズが増加傾向にあります。

「環境汚染防止」分野における下水、排水処理のプラントエンジニア、「地球温暖化対策」分野では再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力発電など)の技術者や、「ESG不動産」のオフィスビルコンサルタント、「廃棄物処理・資源有効利用」分野では、環境プラントエンジニアなどが挙げられます。

建設DX

また、デジタル技術を計画や設計、施工などの各段階で取り入れることで、建設業務の省人化や高速化、高度化に役立てることを目指す企業が増えており、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる人材ニーズも非常に高まっています。

まとめ

いずれの業界も業界特有の技術者や専門職人材ニーズは今後も存在すると思われますが、上述のようにIT業界はもちろんですが、製造や建設においても「自動化」や「デジタル化」に関連するエンジニアのニーズは今後も高まっていくと思われます。

世の中の自動化とデジタル化がもはや止められない中、競争相手は国内よりもむしろ世界の方が圧倒的に多く、また強敵揃いの様相を呈してきました。世界に通用し、勝てる日本企業を生み出すために、ヘッドハンティングをはじめとする採用手段を用いながら、日本国内での適材適所を活発化していく必要があると感じます。

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