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RJP理論で採用後のミスマッチを防いで社員の定着率をアップ!

RJP理論で採用後のミスマッチを防いで社員の定着率をアップ!

企業にとって非常に重要な課題の一つが「社員の定着率の向上」でしょう。新卒社員が就職後3年以内に転職する割合は業種によって異なりますが、大卒に限ってもおよそ3割から6割、高卒や中卒ではそれ以上の割合です。したがって企業は社員が離職しないよう最大限の努力を払う必要があります。しかしそもそも採用時に離職しにくい人材を採用すれば定着率は上がるのではないでしょうか。そのために有効なのがRJP理論です。

RJP理論とは?

そもそもRJP理論とはいったい何でしょうか。RJPとは「Realistic Job Preview」の頭文字をとったもので、「現実的な仕事情報の事前開示」という意味です。1970年代にアメリカで提唱された理論で、企業のネガティブな部分も開示することで、入社後のミスマッチを防ぐ効果があるとされています。企業の多くは、自社の良い点、優れている点、社員にとってメリットとなる点をアピールしがちです。確かに企業のポジティブな面をアピールすることは正しいことですし、絶対に必要です。しかし現実的な雇用条件、有給制度、残業の有無や長さなどを事前に開示することで、求職者をがっかりさせないよう配慮することができるのです。

RJP理論の導入メリット

RJP理論には主に4つのメリットがあるとされています。まずはワクチン効果です。ワクチンは病原菌に対してあらかじめ免疫を作る効果がありますが、RJP理論にはそれと同じような効果があります。つまりこれから入社する企業のネガティブな面をあらかじめ知らされることで、入社後に大きなギャップを感じずに済みます。次のメリットはスクリーニング効果です。スクリーニングは「ふるいわけ」という意味がありますが、その意味の通り、応募者がその会社をふるい分けるのに役立ちます。
ネガティブな情報を聞いてもぜひ入社したいと考える応募者が面接にやって来るため、企業側も採用確度の高い面接が行えるというメリットとなります。採用前に判断材料が増えるので、不要なコストが削減できるでしょう。

続いてのメリットはコミットメント効果です。コミットメントとは「責任を持って関わる」ことですが、企業がネガティブな情報もあえて応募者に伝えることで責任感の強さをアピールできます。企業の誠実さが伝わるとともに、求職者にも入社を決めたからにはやり遂げなくてはという気持ちを起こさせるのです。4つ目のメリットは役割明確化効果です。企業が応募者に対してどんな仕事や役割を求めているかをあらかじめ伝えることで、入社後に理想と現実のギャップに苦しまないようにすることができます。

RJP理論の導入方法

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RJP理論は様々な企業が導入しており、その方法は様々です。
例えばある企業は、求人広告をほとんど利用せず、SNSによって自社の概要を知っている人の中から正社員を登用しています。SNSには会社の良い点ばかりをのせず、あえてネガティブな情報も掲載することで等身大の企業像を見せ、RJP理論を導入しているのです。さらに別の企業は入社前に実際の仕事内容を体験してもらうというスタイルをとっています。

特に仕事内容が厳しいとされる営業職では、商談などやりがいはあるものの神経を使う業務であるため、理想と現実のギャップが生じそうな仕事を中心に体験してもらいます。応募者が仕事を体験してみても入社したいという気持ちに変化がなければ、企業側も安心して採用することができるというわけです。採用後の定着率アップにRJP理論がいかに効果的かわかるでしょう。
企業によってどのようにRJP理論を導入するかは異なるため、自社に合う方法を見つける必要があります。

RJP理論導入での注意点

RJP理論は企業にとっても求職者にとってもメリットが大きいですが、導入に際しては注意も必要です。まずはポジティブな情報とネガティブな情報をバランスよく伝えるという事です。ネガティブな情報だけを伝えすぎると、入社希望者が減ってしまい人材が不足してしまうでしょう。RJP理論によってギャップを生じさせないようにすることは重要ですが、ギャップが生じる以前に応募者が減ってしまっては元も子もありません。さらに求職者が実際に配属される部署との連携が非常に重要になります。面接官や採用担当者が、実際に配属される部署のことをよく知らずにRJP理論を適用すると、せっかくネガティブな情報も伝えたのに現状と違うということが起こり得ます。
ギャップを少なくするためにRJP理論を導入したのに、結局ギャップが生じてしまう事になりかねません。良い連携とコミュニケーションがRJP理論の効果を最大限引き出す秘訣なのです。

RJP理論で労使ともに満足できる採用を

面接や採用は、常にミスマッチやギャップと隣り合わせです。面接の時はやる気があったのに入社したらやる気を無くしている、入社前はやりがいがありそうだったのに仕事が楽しくないといったギャップを少しでも減らすことが定着率の向上へと繋がります。RJP理論を積極的に導入して、入社後も長い間社員に楽しく働いてもらえるようにしたいものです。

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