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人事部がプレミアムフライデーを効果的に使うには?

人事部がプレミアムフライデーを効果的に使うには?

2017年2月から始まった「プレミアムフライデー」は、製造業やIT関連を筆頭に、多くの企業が導入を始めています。「我が社も導入すべきでは?」と考えている人事担当者も少なくないでしょう。
今回は、プレミアムフライデーの内容と対応について考えてみることにしましょう。

そもそもプレミアムフライデーとは何なのか

プレミアムフライデーとは、「毎月末の金曜日をプレミアムな日と位置付け、業務を15時に終了して、2.5日分の週末を楽しみましょう」という運動です。
時間の楽しみ方は自分次第で、少し長めの週末旅行もいいですし、家族や恋人とゆったりした時間を楽しむのも良いでしょう。スポーツで汗を流したり、カルチャースクールに参加してみたり、夕方から夜までの時間を使えますから、さまざまな楽しみ方ができるはずです。
多くのホテルやレストランでも、プレミアムフライデーに合わせたメニューやサービスが並んでいます。プレミアムフライデーならではのスペシャルメニューや、普段は手が届かないコースを特別価格で提供するなど、さまざまな特典が用意されています。
月に一度の週末を、特別に半日長く楽しめる。それがプレミアムフライデーです。

プレミアムフライデーの効果と目的

プレミアムフライデーは、「プレミアムフライデー推進協議会」という組織が、経済産業省の委託事業として運動の推進を担当しています。設立時の資料を見ると、目的として「国民各層がそれぞれの価値観のもとで『幸せ』や『楽しさ』など生活の充実感を実感することができるライフスタイルへの変革・実現」とあります。
つまり、プレミアムフライデー導入の目的は、以下の2点といえます。

(1)自分のために使える、まとまった時間を増やし、働き方の見直しにつなげる
(2)増えた時間を飲食や趣味にあててもらい、個人消費を促進する

この運動の中核となったのが経済産業省ですので、おそらく当初の目的は(2)かもしれません。しかし、勤務時間が少なくなるとすれば、当然(1)の効果も加わってきます。むしろ企業の人事部としては、(1)による労働者への効果が興味の対象となるでしょう。

多くの企業が参加を表明しているが困難な業種も

この運動には、すでに多くの企業が参加を宣言しています。プレミアムフライデー推進協議会事務局が2017年4月10日に発表した資料によると、「早期退社に取り組んでいる」という企業は2月20日時点では120社でしたが、4月3日には330社と約2.75倍に増えています。業種で見ると製造業、IT、建設・不動産の3業種で半数以上となっています。企業規模で見ると、従業員1,000人以上が40.7%と4割近くを占めていますが、従業員100人以下の企業でも29%存在しており、決して大企業だけが実施しているわけではないことがわかります。

ですが、どんな企業でも導入可能ではありません。多くのホテルやレストランが、プレミアムフライデーのスタートに合わせて対応のサービスを始めました。しかし、プレミアムフライデーに向けたサービスを提供している以上、自分たちが休むことはできません。したがって、サービス業では実施不可能でしょう。また、学校や役所、医療機関なども、仕事の性質上困難です。
こうしたことを考えると、プレミアムフライデーが定着するかどうかは未知数といえます。

企業はプレミアムフライデーにどう対応するか

一方で、プレミアムフライデーは、労働者の就労状況を見直すきっかけにはなるでしょう。
「労働時間が減った分、しわ寄せがある」「月末の金曜に早上がりなんかできるわけがない」といった声はありますが、実際やってみなくてはわかりません。ですから、導入するなら業務に影響の少ない部署から、試験的に実施してみるといいのではないでしょうか。
導入するなら中途半端にせず、2〜3回続けて参加者にはレポートを提出してもらえば、どの程度の効果があるのかが見えてくるはずです。

もちろん、働き方の変革や改善を謳うのであれば、残業時間の削減や有給休暇の消化が優先です。本来すべきことが手つかずのままプレミアムフライデーを実施するのは、本末転倒に見えるかもしれません。
ですが、部署やポジションによっては、有給よりも日時を決めての時短勤務のほうが適しているケースもあるはずです。プレミアムフライデーを試験的に実施してみて、その上で判断するのが現実的ではないでしょうか。

企業としてプレミアムフライデーをどう使うのか

プレミアムフライデーは「個人のためのもの」という考え方もありますが、単に時短勤務にするのではなく、企業として労働者に有効活用してもらう場を提供することも考えられます。例えば、希望者を募って社内講習会や勉強会をするのもいいでしょう。趣味やスポーツの「クラブ活動」にあてる方法もあります。部署を横断しての食事会を行えば、普段は会話を交わさない人とのコミュニケーションの場を作れます。

プレミアムフライデーが、この先どこまで普及していくかはわかりません。いつの間にか忘れ去られてしまうかもしれませんし、長い時間をかけて浸透していくかもしれません。いずれにせよ、これをきっかけに社員の就業環境を見直し、改善の余地を探ってみるのは、企業のあり方として正しい姿ではないでしょうか。

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