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組織の生産性を下げる「モンスター社員」へどう対応する?

組織の生産性を下げる「モンスター社員」へどう対応する?

今に始まったことではありませんが、最近は特に、自己中心的な主張を声高に叫び、周囲に無茶な要求を突き付ける“モンスター”が暴れ回っているようです。ビジネスの現場にも、そんな「モンスター社員」が現れるようになりました。私たちはこの怪物たちに、どのように立ち向かえば良いのでしょうか?

あらゆるところに出没するモンスター

保護者が学校側に対して法外な要求をする「モンスターペアレント」や、医療機関で医師や看護師に無理難題をふっかける「モンスターペイシェント」など、あらゆる場所でモンスター化した人が暴れています。
彼らの特徴は、自己中心的で常識外れな主張をし、それが通らないと自分が被害者だと訴え、補填と称して非常識な要求を突き付けます。自分の主張を通すためなら道理もルールも関係ないという姿は、はた目には「恥ずかしくないのか?」と感じられるでしょう。彼らには彼らなりの理由があるのかもしれませんが、問題なのはモンスターが職場にも登場することで、現場の生産性が極端に落ちることです。

モンスター社員にはいくつかの種類がある

職場に現れる「モンスター社員」にはいくつかのパターンがありますので、その一例を紹介しましょう。
例えば、コミュニケーションを拒否し、自分のやりたいことだけをやっているというタイプ。気に入らないことがあると、わざと失敗したり、遅刻したりすることで、周囲に迷惑をかけます。
また、新卒の若い社員にありがちなのが、理由がはっきりとしない遅刻や欠勤が多く、会社側から注意すると保護者が出てきて一方的な主張ばかりを繰り返すというものです。
このように、モンスターたちは自分の行為が組織の和を乱し、時には法に触れるということを認識していません。逆に「当然の権利だ」とか「この程度のことで」と考えていることがほとんどでしょう。ですから、「じっくり話し合って円満に解決する」というのは難しいようです。

採用段階でモンスターをいかに避けるか

では、モンスターを社内に入れないために、採用段階ではどうすればいいのでしょうか?
実は、モンスターたちは、とても愛想が良く、朗らかで、組織にとって好ましい存在にも見えることが多いのです。「相手を持ち上げる」タイプは「相手をおとしめる」タイプの裏返しなのですが、採用時にモンスター社員かどうかを判別することは容易ではありません。そうした罠を避けるために、いくつか注意したい点があります。

・過去の職歴だけに頼らない
職歴に大企業の名前があると優秀な人材だと思い込んでしまいがちですが、それは危険です。過度な期待が落胆を生み、それによって本人がモンスター化してしまうことがあるのです。
職歴だけを鵜呑みにせず、「どうして辞めたのか?」「現場ではどのような仕事を手掛けてきたのか?」など、面接でできるだけ情報を集めることが大切です。

・第一印象だけを信用しない
面接時の印象はとても良かったのに、その後モンスターに変貌してしまったというケースは、意外にも多いようです。モンスターは最初から「私はモンスターです」などとは教えてくれません。当たり障りのない表情を見せて、入社後にその本性を表してきます。
ですから採用面接においては、自社の理念や組織風土、価値観などについて、深い話を交わしてミスマッチを防ぐことが肝心でしょう。

・履歴書の文字を見る
手書きの履歴書の書き方や筆跡を見て推察・判断するという方法です。極めて古典的なやり方ではありますが、これが意外と馬鹿にできません。
手書きの文字には、その人の人格や性格が表れやすいものです。下手でも構わないのですが、丁寧に書いていることは必須でしょう。殴り書きにしか見えない履歴書を送ってくる人は、所詮それだけの人なのです。
また、記載内容としては、仕事に関係のない趣味や資格について長々と書いてあれば、自己顕示欲が強い人間だと思われます。
手書きの履歴書は、意外なところで本人を写す、鏡の役割も果たしてくれるのです。
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もし、モンスターを招き入れてしまったら

あれこれ防御策を講じたにもかかわらず、「モンスター社員を採用してしまった」あるいは「社員がモンスター化してしまった」場合には、どう対処すれば良いでしょうか?
社員として雇用したからには、安易に解雇することはできません。万が一裁判となれば、お金も時間もかかります。そのあたりの事情は、すでにモンスターも承知の上でしょう。
また、穏便に収めようとしてモンスターの主張を丸呑みしてしまうのは、さらに悪い対応です。そんなことをしてしまったら、彼らの要求はさらにエスカレートしていくばかりです。会社として、できることとできないことはありますから、そのラインはしっかりと維持しておきましょう。そうでないと、他の社員にも悪影響が及びます。

それらを踏まえて対応すると、まずできることは「相手の話を聞くこと」です。今さら…と思う方も多いかもしれませんが、まずはそこから始めるのが最善策なのです。
どんな理不尽な話でも、まず聞いて見ることです。決して途中で遮ったり、否定したりしてはいけません。そして、話を聞いた上で冷静に検討して対処する。主観的な感情と客観的事実とを明確に分けていけば、何も恐れることはありません。
「双方のあいだに横たわる問題を解決する」という姿勢を崩さず、「彼らの言葉を聞きつつも、主張すべきところをしっかりと主張する姿勢を崩さない」ということが、モンスターに対抗する有効な手段です。

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