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HTML5技術活用でPF離脱とIP創出を画策するゲーム会社の動向

HTML5技術活用でPF離脱とIP創出を画策するゲーム会社の動向

かつてモバイル向けのWEBゲームといえば『モバゲー』『GREE』などが隆盛を誇っていました。しかし昨今は、スマートフォンの普及によってネイティブアプリが一般的となっております。プラットフォームがアップルやグーグルに変わった事により、ある程度の制約もでてきております。ゲームをより多くのユーザーに遊んでもらうことを目的として、ゲーム会社各社が対策に乗り出しています。

オリジナルのIP創出と育成が目下の課題

有名キャラクターや、秀逸なストーリーは特定のメディアや媒体に依存せず、さまざまなコンテンツに変化し、展開していきます。当初のメディアと異なる、別のメディアに適した形で再提供されていくのです。それは、もともとのIPの人気・知名度が高ければ高いほど、より大きな事業となり収益を生み出します。アプローチ方法は各社さまざまですが、愛されるIPの創出と育成を考えております。

プラットフォームからの離脱とグッズ展開

そのなかのひとつの動きとして、既存プラットフォームからの離脱とグッズの展開があげられます。たとえば、株式会社バンダイナムコエンターテインメントは、HTML5の技術を中核として活用したオンラインゲームの配信、およびプラットフォーム運用に向けて動き出しました。株式会社ドリコムと共同出資による新会社『株式会社BXD』を設立し、2018年春にスマートフォン対応のブラウザゲームのリリースを予定しています。サービス開始時には『ドラゴンボールZ新作』『ファミスタ新作』『アイドルマスター新作』をラインナップ。新しいゲーム制作方法で、アップル・グーグルのプラットフォームから以外での展開を目指しています。

これらのプラットフォームを離脱するメリットは、単純に中間マージンだけに限りません。もっとも大きいのは『検閲』なのです。各社の検閲があることによって、現状では『デジタル』と『リアル』の連携が難しくなっています。バンダイナムコグループはIPの世界観を自社商品、サービスを広く連動させていくことに長けています。IP価値の最大化を図るためにはプラットフォームにとらわれない展開を考えております。

加えて、ドリコムのHTML5技術が非常に高く、運営ノウハウも多い事も今回の事業展開への動きに影響しております。ゲームだけではなく、プラットフォームから構築して『新しい体験』を提供する――。BXDはココで勝負をしかけていくようです。

ゲームをコンテンツ育成の手段に

バンダイナムコグループと異なる取り組みを行っているのが、株式会社アカツキです。アカツキは『株式会社アカツキ・ヴァーチャルアーティスツ』を設立し、ヴァーチャルアーティストのプロデュースに乗り出しています。これまでゲームの分野で培ってきたコンテンツ制作やキャラクター制作のノウハウを活用して、『ヴァーチャルアーティストのプロデュース』という事業を打ち出しました。ソフトウェアの販売のみならず、イベント運営、音楽・映像コンテンツの販売……。長期的に愛されるIPを作るための方策が、ゲームなのです。

ヤフーや楽天も自社プラットフォームへ

ほかにも、HTML5の技術を活用したプラットフォームの創出に取り組んでいる企業は多数あります。ヤフーや楽天ゲームズも、ブラウザ上で手軽に楽しめるゲームをリリースしました。スマートフォンアプリや家庭用ゲームと同水準の品質のゲームを提供。ヤフーは、ハイエンドなグラフィックの『ファイナルファンタジーXIII』『ファイナルファンタジーXIII-2』をラインナップしています。一方の楽天ゲームズも『パックラン』や『インベーダーブラスト』など、直感的で簡易な操作で遊べるゲームを中心にリリースしています。なお、パックランとインベーダーブラストは、バンダイナムコが行っている同社のIPを使ったコンテンツの制作、販売ができる“カタログIPオープン化プロジェクト”から誕生したもの。このプロジェクト自体も、有名IPを大事にしすぎず、可能性を広げたいという思いにもとづいています。

多くのファンがいるIPを開放することで、プラットフォームの枠を超えていろいろなメディア、業種とのコラボレーションを実現しているようです。セガサミーホールディングスも休眠中のIPをリバイバルする動きをみせており、新時代のIPビジネスから目が離せません。

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