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デジタルエージェンシー戦国時代!

デジタルエージェンシー戦国時代!

日本の広告業界は、長い間、大手代理店による寡占状態が続いてきました。しかし、インターネットの普及と技術の進歩、ライフスタイルの変化によって、大きな変革が起こっています。デジタルエージェンシーの現在と今後について考えてみましょう。

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広告業界に起こった大きな変化

インターネットが普及する以前は、広告といえば「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」の4大媒体が主流でした。そして日本では、メディアの大多数を大手広告代理店が押さえることで、業界全体が寡占状態となっていたのです。ところが、2000年頃にインターネット広告(以下、ネット広告)が登場し、急速に成長しました。

ネット広告は、ベーシックなバナー広告、情報拡散が期待できる動画広告、検索エンジンを活用したリスティング広告など多くの種類があり、目的に合ったものを選べます。しかも、ユーザーの趣味や嗜好に合わせて表示させることができ、反応が数値となって表れますから、より戦略的な広告配信ができます。
さらに、「スマホの普及と高性能化」「クラウドサービスの普及」「ビッグデータの活用」という変化が、ネット広告を成長させる強力な追い風となり、広告媒体の一翼を担っています。

現在、人々はデスクトップPCから解放され、いつでもどこでもインターネットを利用できるようになりました。これは、テクノロジーの進化によって起こったライフスタイルの変化です。この変化とともにネット広告業界は着実に拡大し、約6兆円という全広告市場のうち、1兆円を超える規模にまで達しているのです(電通調べ、2016年時点)。

群雄割拠、ネット広告の分野

大手によって長らく寡占状態だった広告業界の一角に生まれた、ネット広告というフィールド。大きな可能性を秘めた成長分野であるだけに、さまざまなプレイヤーがひしめき合っています。主な顔ぶれを見てみましょう。

・大手総合広告代理店
日本の大手総合広告代理店2社は、それぞれ「電通デジタル」「博報堂DYデジタル」を設立。総合力を強みとした、包括的なサービスの提供を強化しています。

・外資系コンサルティング会社
蓄積された経営ノウハウを武器に、急速に勢力を伸ばしています。すでに海外では大手コンサルティング会社が広告代理店を買収するなど、広告業界に業務を広げる傾向がトレンドとなっています。

・SIer(システムインテグレーター)
デジタル広告で得られた各種データをマーケティング施策に反映していくためには、統合されたシステムが必要です。そのため、システム開発を担ってきたSIerもこの分野に進出し、統合的なデジタルマーケティングを提供しています。

・ネット広告代理店
ネット広告に特化した広告代理店は、急速な伸びを見せ規模を拡大してきました。その勢いは衰えることなく、売上高で広告業界の上位にランクインするまでに成長しています。

このほか、ユーザーとの接点を持つ各企業が、保有するビッグデータを武器にデジタル広告を手掛けるなど、業界の垣根を越えて群雄割拠する時代といえるでしょう。

企業間で激化する人材獲得競争

さまざまな業界と業務内容がオーバーラップしており、しかも急成長を続けているデジタル広告業界。当然、参入する企業は他社に先駆けてシェアを確保しようと躍起になり、激しい人材獲得競争が展開されています。近年は少子化の影響もあって、ほとんどの産業で人材不足が顕著ですが、その中でもデジタル広告業界は「超売り手市場」という状態です。

しかし、ニーズの高さに比べて優秀な人材はまだまだ少ないのが、デジタル広告業界です。まだ新しい分野であることや常に技術革新が起こっていることから、十分な経験を積んだ実務経験者が限られているのです。また、優秀な人材であれば企業側も好条件で囲い込みます。そのため、本人の転職指向が低く、ますます人材不足が深刻化していきます。

ですが、「良い人材がいない、集まらない」と手をこまねいていたのでは、激しい競争を勝ち抜くことはできません。優秀な人材はこちらから獲得に動かなければ、決して得られるものではないのです。

クライアント側にも求められる変革

ネット広告の登場とその進歩によって、企業の広告活動には大きな変革が起こりました。ユーザーとの接点を通じて得られるデータを分析し、それぞれの行動パターンや嗜好に合わせた、より積極的なデジタルマーケティングがすでに実現しています。そして、従来の広告業界、コンサル業界、システム業界といったカテゴリーの区分を越えて、多くの企業がこの分野にチャンスを見いだしています。

こうした時流の中では、クライアント企業もまた変わらなくてはなりません。単に「広告を打って集客する」という従来の発想や考え方に縛られていては、間違いなく振り落とされてしまうでしょう。優れたデジタルエージェンシーとの連携は強力な武器になりますし、デジタルに強いスタッフを対外窓口として配置しておけば、効率的なマーケティング施策を、よりスムーズに進めることができるはずです。

さまざまなエージェンシーが激しい競争を繰り広げているデジタルマーケティングを活用することで、多くの企業にとってはライバルを追い越し引き離すためのチャンスになるでしょう。

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