ヘッドハンティング最前線~現役ヘッドハンターが語る~

中小企業からヘッドハンティングされる時

2015年03月02日
担当
松本 芳治

ヘッドハンティングと聞くと、資金潤沢で積極採用をしている大手企業や外資系企業だけの世界と思われがちだが、弊社へ直近1年でお問い合わせいただいた企業の約半数は、従業員数200名以下の中堅・中小企業である。弊社のハンティングサービスをご案内する際、この事実をお伝えすると「想像以上に中小企業が多いものだな」と驚かれる経営者や人事担当者が多い。

ヘッドハンティング依頼の背景として、大手企業の場合は各年代の人員構成の均一化を図る中で、絶対的に人員が不足している30代後半から40代前半の人材採用に対する相談がメインとなる。一方で規模の小さい企業については、どの年代を採用する場合でも募集しても応募すら来ないという状況に陥り、幅広い年代を求めて弊社へのご連絡をいただくことが多い。

例えば、つい先日依頼をいただいた創業50年、従業員20名の都内某建設会社は、電気工事の施工管理ができる人材をハンティングしたいというものであった。この建設会社は長年培ってきたノウハウやネットワークにより業績は安定していて、人員さえいればもっと工事が受注できる状態にあった。ただ1年以上求人を出し続けているにも関わらず、一人も採用できていない状態であり、スキル要件さえ満たせば年齢は問わないという。このような背景があって弊社へ依頼されてきたのである。

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業績好調な優良企業であっても、知名度の低さから求人媒体に掲載すると他企業に埋もれて、採用が困難という中小企業は多い。特に建設業界は震災復興、東京オリンピック開催決定、アベノミクスによる公共事業投資など追い風材料が多く、採用意欲が特に高い業界の1つである。逆を言うと業界全体として人材が不足している。上記のように業績堅調で人さえ採れればさらに収益が見込める企業の場合、規模の大小に関わらずヘッドハンティングという積極的採用手法を活用することは珍しくないのである。

さて一方、中小企業にヘッドハンティングされる側の動向はどうだろうか?転職を考える場合、多くの人は現在所属する企業よりも規模が大きくなればそれを前向きな材料として受け取る傾向にある。だからと言って逆に会社の規模が小さくなると、誰しもが懸念を持つかというとそうではない。規模が小さいからこそ実現できることに「やりがいや魅力」を見出して移籍されるケースも多数存在するのである。

社会人として経験を積み、業務を任せられるようになってくると、「もっとこうしたい」 という欲求が少なからず出てくるが、中でも30代も半ばを過ぎてくると「経営に近いポジションで仕事をしたい」や「裁量権を大きくしたい」というのが代表的になって来る。そうなると一般的には、企業の規模が小さければ小さいほど経営陣との距離が近く、ミドル層への期待と裁量権が大きくなる中小企業に魅力を感じるビジネスマンは少なくないのだ。

日本人の仕事に対する考え方は、社会的なステータスや報酬だけに重きを置くのではなく、仕事のやりがいや職場環境を重視する割合が外国人に比べて大きいと言われる。よって、自分自身が考える価値観に対して、声を掛けられた企業の方が総合的に合致していると判断すれば、規模の小さい会社や、たとえ給与が下がったとしても移籍するケースがあるのは不思議ではない。最終的には「自分にとって最も満足度の高い会社」であることが一番大切だということだ。

冒頭、申し上げたように中小企業が優秀な人材をヘッドハンティングしたいと大企業で働く”あなた”に声をかけてくる可能性は大いにある。仮にこれらの企業からヘッドハンティングの声が掛かった場合、現職での満足度が100%ではないのであれば、話だけでも聞くという機会を設けてみてもよいのではないだろうか。規模の大小に関わらず「あなたにとって最も満足度の高い会社」が現職なのか?ヘッドハンティングを依頼した会社なのか?を比較することにリスクはない。
(松本 芳治)

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