Vol.51 〜 脱スーツとの葛藤 〜
思い返せば、中学時代の制服は学ランでしたが、夏期だけは授業中も全校集会も半袖白シャツでした。それは夏の制服であり、そして"正装"でした。
今年の夏、就活中の学生は、面接企業からの「クールビズでお越し下さい」の呼びかけに疑心暗鬼なのだそうです。軽装で面接に行くと、"ビジネスマナー不足"のレッテルを貼られそうで恐いのだとか。これは新卒に限らず転職者や営業マンもしかりだと思います。「節電中につき軽装でお越し下さい」と企業サイトに掲載されていても、"無難にスーツで参上"という人がまだ多いと思います。
日本のビジネスシーンでは、スーツにタイ着用が正装とされて来ました。起源はというと、明治4年の太政官布告で「爾今禮服ニハ洋服ヲ採用ス」が発せられた時まで遡るようです。その際、儀式の定服が洋服(礼服の様相)となり、次いで公務員の制服が洋服となり、次第に一般にも背広が定着して今に至るというわけです。求職者などからすると、保守的にこれまでの風習を守る方が安心だと思うのは自然な心理です。
帝国データバンクによると、今年の夏にクールビズを実施する企業は8割にのぼるのだそうです。しかし、接客時などはスーツ姿で挑む企業がまだ多いのが現状。軽装は自主的な装いであり、"正装"の認知まではされていないからです。例えば、半袖とスラックスであっても、"これが正装だ"という着こなしを共有すれば事態は変わるのではないでしょうか。今はこの"正装の共有"が欠けていることが就活生の悩みになっているわけです。
温暖化と節電と軽装はもはや三位一体。明治以来、スーツが制服のようだったビジネス界。正装の変換は訪れるのでしょうか?
